播州そろばんとは
兵庫県小野市は、「播州(ばんしゅう)そろばん」として全国的に有名なそろばんの産地です。珠算の道具としてだけでなく、伝統的工芸品としても高い評価を受けています。繊細な伝統技術によって組み立てられたそろばんは、使いやすさ、珠(たま)はじきの良さに加え磨き上げられた美しさを備え、まさに木の美術品としての価値も備えています。
そろばんを漢字で書けば「算盤」となります。そろばんは電卓の普及で需要は減りましたが、算数教育には大変役立つ道具であり、また暗算力を高めます。そして、それが右脳の発達に大変効果があると言われています。
播州そろばんの歴史
そろばんは室町時代の終り頃、中国から長崎を経由して大津に伝わりました。安土桃山時代に、豊臣秀吉の三木城攻略時に、大津に逃れた住民が、そろばんの技法を習得し、地元に帰って製造を始めたのが播州そろばんの始まりと言われています。昭和35年には360万丁と最も多く生産されました。
そろばん製作工程
General Production Process
吟味した材料を用い、高度の伝統技術を受け継ぐ伝統工芸士をはじめとした製作者が、手作業で一つ一つ作り上げています。
そろばん作りには100を越える工程があります。
その工程をざっと紹介すると…
1.枠材作り(わくざいづくり)
2.珠作り(たまづくり)
3.軸作り(ひごづくり)
4.枠加工(わくかこう)
5.軸の差し込みと珠入れ
6.組み立て
7.目竹どめ、裏棒どめ、すみどめの穴あけ
8.磨き
伝統と歴史を誇る匠の技で丁寧に作られます。
職人さんたち
播州そろばんの特徴は、部品ごとに作業工程を分業化していることです。
多数の職人さんの手によって一丁のそろばんが作りあげられます。
どの工程の職人さんも播州そろばんに欠かせないとても大切な役割を担っています。
そろばん各部名称
そろばんの各部分にはそれぞれ名称があります。
※こちらは伝統的工芸品播州そろばん(高級品)を基に書かれています。全てのそろばんが同じ仕様とは限りません。
三帆舎『播州そろばん そのルーツと歴史を訪ねて』
久保田輝雄 鹿野 文 著 より抜粋